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安さだけがこの世の真理ではないけれども,安い価格でのIPの提供は,次の“儲け”に繋がるかもしれない。
日本IBMが9月1日に発売した,99,800円のパソコン「アプティバE 2190-0J5」が大ヒットしている。スペックは15インチCRT,K6-2 400MHz,64MBメモリ,6GBハードディスク,40倍速CD-ROM,56Kモデム。MSオフィスではなくロータス・スーパーオフィス2000が付いている。ウインドウズ98は付いているが,セカンド・エディションではない。このパソコンで一番高いパーツはウインドウズ98のライセンス料だという。IBMはこの機種で,コンシューマー向けデスクトップ市場のシェアを5〜6%から19%にまで跳ね上げた。
iMacがゆっくりとフェードアウトしていくのに代わって,うなぎ登りの勢いで売り上げを伸ばしたのがこのIBMのモデル。もともと安い価格だったらパソコンを買おうと思っていた人が,10万円以下と云うインパクトのある価格で一斉に買いに走った,と云う感じか。この10万円以下の市場は,すでに米国で大きな勢力となっているように,日本で先手を打ったIBMは賢かった。後を追うようにアップルは,新型iMacの発売と同時に,現行のiMacを99,800円で発売すると発表した(Nikkei Biztech Newsの記事)。新しい機能がなかろうと,OSやバンドルソフトがちょっと落ちようと,安さが購入の一番のファクター,と考える購入層は確実に大きい。
IBM社員の「(IBMは)今後はこの(低価格の)カテゴリーで勝負をかける。ハイエンドのAV対応デスクトップとかは,ソニーさんとかにお任せですね。もうやらない」というきっぱりとした決意表明は聞いていて気持ちいい。ある意味,格安でIPにつなげることが,パソコンメーカーの命綱になる可能性は高い。インターネットのためにパソコンを買う,インターネットにしかパソコンを使わない人は,とてつもなく多い。繋がった人間は,繋がった気持ちを維持しようとする。携帯電話の急激な普及と論理は同じである。そして,より快適に繋がることを欲することからの買い替えも期待できる。または,持ってるものでできるならとDVでも3Dでも利用してもらえれば,やはり買い替えを促進できる。IPをばらまく,そこから稼ぐのが,eBusiness,かな?
追記:ソーテックやデルやコンパックなんかも10万円以下パソコンを出してるやん,と突っ込まれました。確かに,その通り。まぁIBMというブランドの高さと10万円以下という価格が絡まった結果としての大ヒットなんでしょうね(いやべつに,ソーテックやデルやコンパックのブランドが低いと云ってるわけぢゃなくって(^^ゞ)。
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